鉄子の旅「ぐすく」へ

Kremsの超おしゃれホテルで迎えた朝。7km先の「Durnstein(デュルンシュタイン)」へ、電車で行ってみることにした。せっかくホテルの前が駅なのだから、乗ってみたい。大学の目の前には、巨大なモニュメントが設置された美しいホームがある。実はここは無人駅。おりる予定のデュルンシュタインも無人駅のため、車内の自動販売機で切符を買うしくみ。線路は単線だし、やってきた電車は1両だし、なんかもうローカル路線の雰囲気にどっぷり浸れる小さな旅だ。


ドナウ川沿いにはサイクリングロードが整備されているので、自転車でさっそうと移動するのもいいかもしれない。
約5分で目的地の駅に到着。左手にはドナウ川、右手にはゴツゴツとした岩の塔が林立する山がそびえたっている。日本で言えば妙義山のような山。そしてその頂上には、私の大好きな城跡(沖縄でいうところの、「ぐすく」)があるのだ〜。


城の名は、Ruine Kuenringrtburg(ケーリンガー城跡)。急な坂道を30分上っていくと、今はわずかな壁しか残っていない城跡から、眼下に広がる景色を満喫できる。鳥になった気分の風景と、吹き渡る風。ああ、やっぱり「城」はいい場所に建っている。今は城として機能していない「城跡」は、私にとって最高の旅の目的地だ。なんか、好きなのよね。鉄道+ぐすく、というゴールデンコンビに、ご機嫌。
さらに機嫌がよくなる理由には「ヴァイスビア−(白ビール)」がある。お昼に飲んだ、濁りビールのおいしいこと。晴れた空の下、乾いた風に吹かれて飲む、こっくりと味の深い、フルーティなビールのうまさよ。ああ、生きててよかった。

この町は、山の上の城跡と、歴史ある修道院がみどころ。城門内の一本道にはおみやげ屋さんがつづく。キャンプ場やテニスコートもあり、地元の人にとっては車で来る観光地らしい。川沿いには立派なプールがあり、水着姿で強い日差しに肌を焼く人々が。のんびりできる、いいところみたい。周囲にはブドウ畑、ドナウ川では、世界遺産であるバッハウ渓谷を巡るクルーズ船。ちょっとすてきな町歩きができる。


電車に乗って帰路についたのはよかったが、クレムス大学駅に止まる気配も見せずあっけなく通過。がーん、あの駅は、鈍行でないと止まってくれないのね? まあいいか。クレムス駅からホテルまでの2km、町歩きを楽しみながらぶらぶら帰ることにする。
メリットは、駅に併設されたコンビニエンスストアで、ミネラルウォーターを買えたこと。実は、昨夕町に出て気づいたのだが、多くのお店やスーパーは、「月〜土の営業で、日曜は休み」なのだ。しかも土曜日は18時までで、すでに閉店したあと。ホテルのミニバーの水は馬鹿みたいに高いし困ったな…と思っていたら、1件だけ、駅のコンビニだけは営業していたのだ。1本1.45ユーロ(1.5リットル)の水「ohne(オーネ=炭酸ガスが入っていないタイプ)を買えて一段落。空気が乾燥していて昼間は暑いので、水ナシではとてもやっていけない。ホテルの部屋には湯沸かし器がないので、水道水を煮沸してお茶をいれることもできない。水は死活問題なのだ。
明日、月曜日になったら、いろいろなお店が開く。スーパーでは、何を売っているのか探ってみよう。