モンテカティーニ・テルメ

フィレンツェ初日で痛感したのは「休日の観光客が多くてうっとうしい」ことと「日曜日は市場がお休みでツマラナイ」ってこと。そこで、電車に乗って郊外へ足を伸ばしてみることにした。向かう駅は「モンテカティーニ・チェントロ(Montecatini Centre)」。城壁の残る町ルッカ(Lucca)行きの中距離電車に乗って、約1時間の場所にある。
地球の歩き方でも2ページしか紹介されていないこの町に、なぜ興味を持ったかといえば、j-waveのラジオ番組で、ロバート・ハリスが推薦していたから。
フィレンツェが観光客であふれかえる週末、地元の人たちは、モンテカティーニ・テルメでのんびり過ごす」という話が出ていたせいなのだ。

人が少ないところで、のんびりするのが好き。そういう人に、この町はピッタリだった。随所に温泉があり(飲むための温泉)、老人が療養にくる高級リゾート地だ。どうやらプールもあるらしい。やっぱり、旅に水着は必須だわ。いつ必要になるかわからない。夏だというのに水着を持ってこなかったのはホントに失敗。
しかし、ケーブルカーに乗って行く、丘の上の町「モンテカティーニ・アルト(Montecatini Arte)に移動すると、プールへのあこがれは吹っ飛んだ。

平地ではあれほど暑かったのに、丘の上では涼しい風が吹いている。日陰で風に当たっていると、純粋に気持ちいい! 小さな広場に集まっているレストランは、大きなパラソルとテーブルを出して、道行く観光客をランチに誘っている。ちなみに、イタリアはさすがに食べ物がおいしい! ウィーンと比べたら、食べ物は断然フィレンツェ。ただし、飲み物では、ウィーンも魅力タップリ。ヴァイスビアー(白濁りビール)と、グリューナー・フェリルトリーナー(白ワイン)、Strumや、スプリッツァーなど、夏場の飲み物が充実している。


ゆっくり歩いても20分で一周できてしまう、丘の町。ランチを終えて市街に戻ろうとしたら、ケーブルカーが昼休み! 30分置きにあると思っていたら、13時発の後は1430までナシ。おお、さすがシェスタ(昼寝)のある国。ケーブルカーを待つ間、眼下に広がる景色をぼーっと見ているだけで、なんだか幸せ。ああ、良いところに来たなあ〜。
旅に出ると、つい「あれもこれも」と欲張ってしまうけど、ゆったりと時間を過ごすのが、実は一番の贅沢じゃないかと思うわ。(その贅沢を堪能しすぎて、インドでは3ヶ月もぶらぶらしてしまい、そのあげくに離婚するハメになった私であるが…)

市街地に降りたら、駅でチケットを購入。モンテカティーニ・チェントロ駅は、どうやら休日は「無人駅」になるらしい。しかも、S.M.N駅のような最新式のチケット自動販売機ではない。片道3.5ユーロの2等チケットを買おうと10ユーロ札を入れたら、お釣りが出ない! その代わり、妙なチケットが2枚、ぽとんと出てきた。1枚はフィレンツェ行きのチケットで、もう1枚はどうやら「お釣り用6.5ユーロ券」という意味らしい。えええ〜、これ、いったいどこで換金してもらえるの? 6.5ユーロを棒に振るかと思うと気が遠くなる。
しかも! 毎時22分と57分に電車がある、時刻表をチェックしておいたのに、「22分発は休日は運休」らしい。がああ〜ん。40分待ちですか。このホームで。なんにもない、無人駅で。まあそれはそれ、ゆったり過ごす贅沢を味わうことにしよう。と、旅用の手帳を開き、行動メモ・お小遣いメモをつける。

フィレンツェに戻ったのは、17時頃。夕食は、部屋のテラスで。昨日のうちに市場で買っておいた、オリーブ、トマト、チーズ、パン、生ハムをつまみに、キリリと冷えたワインで乾杯。ワインを買える店があるかどうかと心配していたけれど、ホテルを右折した道「ファエンツァ通り(Via feanza)」には、ミニスーパーやワインショップがたくさんあった。よーく冷えたプロセッコを1本ゲットし、ホクホク。トスカーナ地方は赤ワインが名産だけれど、この気温では冷たい白ワインが恋しい。しかも、バールなどでは、ビールよりもスプマンテ(白の泡ワイン)のほうが安いしポピュラー。郷に入っては郷に従え、なのだ。

知られざるイタリアへ―終わりなき旅路イタリア編

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