牛好きのルーツ


 2月の連休を使って、実家の父母が泊まりにきた。久しぶりに両親と話をして、私がなぜ田舎暮らしに適性があるのか再発見。
 父の田舎は長野の山の中。私たちは、夏休みや法事のときぐらいしか田舎を訊ねていないのだが、行ったときの印象がとても強い。祖父はリンゴを作ったり、鶏を飼って卵を売っていたし、親戚は牛を飼って酪農をしていた。祖父は「この牛を育てて売れば、おまえの学費になる。しっかり育てなさい」と父に仔牛をあたえたという。父はその牛を世話しながら学校に通った、という話を聞き、私自身の牛好きのルーツを知った。
 
 インド・ダージリンの紅茶園(紅茶通販 マカイバリジャパン 有機JASダージリン紅茶)を訊ねた折り、コミュニティの人たちが牛と暮らす姿を見て感銘を受けた。ここでは牛の糞がバイオガスとして調理に使われているし、堆肥として茶園が買い上げる、というシステムになっているのだ。
 私はとにかく、牛や大型動物が好き。動物モチーフの消しゴムハンコを作ると意外な傑作ができあがる。
 そっかー、お父さんの血がそうさせるのかー。
 
 チャンスがあると父母にこの家に来てもらうのだが、そのたび父は嬉しそう。父母が暮らす住宅街は発展しすぎて、ほとんど自然がなくなっている。その点、この家の周辺は、昔の父の田舎を彷彿とさせる環境なのだ。
 
「育てている牛が、つながれている杭を引き抜いて、学校までついてきちゃってな。杭が足にあたって、後ろ足をけがしてる牛が、お父さんを見つけて寄ってくるんだよ。可愛かったなあ」
 想像するだけで涙が出てしまう。その牛も、いずれ別れの時が来たのかと思うと。ドナドナ。
 
 父も母も、普段の暮らしではこういう話をしないという。私たちと一緒にご飯を食べる時に、懐かしい話が出るのだ。会って話をするって良いことだなあ。これも一つの親孝行なのだなあ。