第4回 知れば安心!手術&入院、お金のサポート


手術を受けることになったら、治療以外の心配ごとができますよね。「退院するまでに必要なお金って、いったいいくらなんだろう」
お金のこととカラダのことって、人に相談しにくいものです。先輩に聞くのが一番早いけれど、その先輩を捜すことが難しいんですよね。症状や状況が違えば、内容も違ってきますから。

それでも、誰にでも共通する情報、先に知っておくと便利な情報があります。それは「高額医療費(こうがくいりょうひ)」のこと。

ふだん、私たちが病院などに支払う治療費は「自己負担3割」です。

たとえば、その治療にかかった費用が1万円だった場合。自分が支払うのは、そのうち3割の3,000円。残る7割の7,000円は、加入している保険団体が担当しています。自営業の場合は国民健康保険、会社員の場合はその会社が加入している社会保険健康保険組合)といった具合です。
手術や入院となった場合、全体の3割、といっても相当な額になります。たとえば、入院総額が60万円であれば、自己負担は18万円。仕事ができず収入がないうえに、18万円の出費はツライです。 
そんな時の救済措置が「高額医療費」のシステムです。 1ヶ月(1日から月末まで)の間に支払った自己負担の医療費が一定額(80,100円+α)を越えた場合に、越えた分だけを払い戻してくれる仕組みです。この「一定額の算出」には、次のような計算式があります。

■70歳未満の自己負担限度額・一般[平成18年10月改正]
▼計算式)
 80,100円+(医療費−267,000)×1%

▼例)医療費全体額が60万、自己負担18万の場合 [→ 83,430円]

 80,100円+(600,000−267,000)×0.01
 80,100円+(333,000)×0.01
 80,100円+ 3,330
 83,430円

 自己負担3割180,000円−高額医療費83,430円=越えた額96,570円

 
入院・手術の治療費が高額になっても、1ヶ月当たりの一定額(例の場合は83,430円)を超えた額(96,570円)は、保険団体が担当し、後から払い戻してくれる[*注1]、ということです。
 

手術の予約をすると、病院からいろいろな説明があります。手術や入院に必要な金額の概算はもちろん、高額医療費の請求方法や、生命保険会社への報告の仕方など。

しかし、患者本人が「高額医療費の払い戻し」について知るのは「入院直前」または「退院して申請書類が届いてから」ということがほとんどです。
高額な医療費が必要になるケースって、たいがいは、突然起きることです。会社の担当者や、国民健康保険の窓口の人が、事前に説明して歩くことはないのは当然ですね。

でも、情報を先に知っていれば、治療計画に役立てることができます。

「高額医療費」のポイントは、「1ヶ月の治療費」の計算を「1日から月末まで」で区切っていることです。20日間の入院であれば、1ヶ月内に収まるようにした方が、払戻額が増えるんです。

もし、入院時期を計画的に選べるならば、月初に入院し、月末までに退院する、のが一番お得という計算になります。

私は、2度目の手術の病院を探しているときに、この高額医療費のことを知りました。入会した「体験者の会:たんぽぽ」の会報に、この情報が載っていたんです!おかげで「入院6月3日、手術6月6日、退院6月24日」と1ヶ月におさめることができました。

「手術の予約を取りましょうね。今空いている日は、5月23日、6月6日、6月13日…」候補日から、自分で6月6日を選べたのは、この情報あってこそ。

急を要する病気ではない、自分で治療のスケジュールを決められる病気の場合は、「高額医療費」の仕組みを知っておいてソンはありません。

[*注1]会社員の方へ朗報。2007年4月より「後から払い戻す」のではなく「減額した金額だけを支払う」仕組みが登場。ただし、健康保険組合に申請書を提出、減額認定書の発行が必要。事前に、社内の窓口に相談してみましょう。

[*注2]自営業などで「国民健康保険」加入している人の場合は、「高額医療費貸付制度」が利用できます。